「マリー・アントワネット」

ムービー, フランス

「マリー・アントワネット」は、かの有名なフランス王妃マリー・アントワネットの青春を描いた映画です。

歴史をなぞるような内容、というよりも、マリーが一人の女の子・女性として等身大の好奇心や悩みの中で淡々と生き抜く姿が女性監督ならではの視点で描かれています。その映像の美しさは劇中での大きな魅力となっており、世界中の乙女たちがため息をついたとか。

舞台であるヴェルサイユ宮殿の装飾やデザインは本当に素晴らしく、鏡の間はもちろん、シャンデリア、厚いカーテン、壁紙、金の燭台、ブルーの椅子、よく磨かれた食器豪華なベッドからは薄いレースの天蓋が垂れ、ふとんには美しい刺繍etc…これでもか!というほどの豪華絢爛な様子が映し出されています。

もちろん、これらは本物のヴェルサイユ宮殿で撮影されており、現地に行くことで実際に観る事ができるそうです。またしばしば登場する宮殿のフランス式庭園は、計算し尽くされた美しいデザインで実際に歩いてみたくなりますよね。若くしてオーストリア王室よりフランスにやって来たマリーですが、故郷とは全く違う仕来たりや、世継ぎを生むようにとの周りからのプレッシャー、上手くいかない夫婦生活により追い詰められてしまいます。そして義妹が先に世継ぎ候補の男児を出産したのをキッカケに気持ちがはじけ、マリーは贅沢な生活へのめり込んでいきます。

部屋に商人を呼び、リボンやレース、パール、ファーの付いた色鮮やかな靴を並べると、まるで現代の女性がショッピングしている時のように、あれでもない、これでもないと貴族の友人たちと共にはしゃぎます。他にも豪華な扇子、ピンクや金の刺繍のある白い生地が部屋中に置かれ、まさにそこは女性のための空間。いつの時代も女性は可愛いものや美しいものに心惹かれ、辛い時でも元気をくれるのだと感じさせられますね。ちなみに登場する靴はマノロブラニク。

当時は無いはずのイギリスのブランドですが、他にもこっそりコンバースのスニーカーも登場していたりと、遊び心のある演出がされています。またフランスはスイーツ大国でもあり、劇中でも様々なお菓子が登場します。色とりどりのマカロンタワー、ラズベリーや苺の乗ったタルト、クリームたっぷりのケーキ、花で飾られたエクレアなどまるで宝石のようで、とってもわくわくします。それらのお菓子はもちろんですが、フランスでは乳製品が盛んなため、シュークリーム、クレームブリュレ、ミルフィーユなどもよく食べられているようです。現地のスーパーではたくさんの種類のヨーグルトが並んでおり、選び放題なんだとか。

bc4ff7db0a3fc16b93958315f19cd845_m

一度でも良いから、フランスでスイーツづくしの旅をしてみたくなりますよね。そのように好きなものを食べ、華やかなファッションで夜会に繰り出していたマリーですが、出産を期に徐々にナチュラルな生活を望むようになります。小トリアノンというマリーだけの小さな城に滞在するようになり、イギリス式の庭園、小さな農村を思わせる集落で家畜を飼い、田舎の暮らしを好むようになります。

またファッションにも大きな変化があり、キュッと体を締め付けていたコルセットから、ふんわりとしたシルエットのドレスへ、色合いは淡く優しくなっていきます。娘のマリー・テレーズと共に花を摘み、穏やかな生活を送るのです。この小トリアノンは現存しており、フランスで実物を観光することが出来ます。

実際の地に立つことで、マリーの気持ちが母親としてどのように変化していったかを想像する事が出来るでしょう。そしていよいよ国の財政が破綻し、民衆によってフランス王室が追い詰められる時が来ます。マリーはギリギリまで夫のルイ16世と共に城に残っていましたが、間近に迫りくる民衆から、オーストリアの兄へ助けを求めに馬車に乗りこみます。車窓からマリーが宮殿の庭を見つめていると、夫に「並木を眺めているのか?」と聞かれます。するとマリーは「お別れを言っているの」と答えます。様々な思い出がつまった王宮を後にすることになり、マリーはどのような想いだったのでしょうか。

遠い土地から幼くしてフランスへ嫁いだマリー。様々な事を経験し、一人の女性として成長して行きました。そんな彼女の歴史そのもののヴェルサイユ宮殿。いつか実際に足を運んで、マリーの人生について想いを馳せてみたいですね。

マリー・アントワネット

Writer's Profile

Lmegumi

マルグリット・デュラスを敬愛し、
映画と散歩と洋楽に熱中する神奈川県出身のライター。
漫画家を目指していた過去があり、縁あって現在の職に落ち着いております。
主に女性向けや健康に関する記事が得意です。