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「多民族アイランド台湾 〜台湾語に見る3つの文化の融合」
日本から近くて手軽に行ける台湾は、人気の観光スポットです。
初めての海外旅行は、台湾という方も少なくないでしょう。
でも、案外台湾に関しては知られていないことも多いのです。
台湾は、小さな島国ながら、実は多民族国家です。
台湾には先住民(現地の人は原住民yuanzhuminとよびます)がいます。現在、認定されているだけでも16部族の原住民が暮らしています。
台湾のウィキペディア(維基百科)によれば、台湾の原住民は2015年現在54万6,698人で、台湾人口の2.33%を占めています。当然、それぞれの部族ごとに異なった言語を話します。
そんな多民族国家台湾の公用語は、國語(guoyu)と呼ばれる中国語です。
そして、次に多く話されている言語が、台湾語(?南語)です。台湾語は台湾の人口の70%以上の人たちが話すことのできる言葉です。
話すことができる、とあえて言うのは、書くことができないからです。
実は、原住民たちの言葉と、台湾語には文字がありません。
「文字のない言葉」…想像がつくでしょうか?
発音はできます。話すことができます。でも、文字はありません。
ですから、國語(中国語)の漢字をあてはめて書きます。
そのあてはめ方は独特なので、國語を話す人たちでも、台湾語を読むことはほとんどできません。
このように、台湾語と原住民の言語は文字がない、という共通点を持ちますが、その歴史は全く異なっています。
台湾語のルーツは、中国福建省にあります。
おもに16世紀〜17世紀にかけて、福建省から台湾に多くの人が移住してきました。
移住してきた福建人の話す言語が、現在の台湾語のルーツです。
そして、台湾語には日本語と同じ単語がいくつも存在します。
なぜかというと、日清戦争(1895年)から第二次世界大戦(1945年)の終わりまでの期間中、日本が台湾を統治していた影響が、現在まで残っているからです。
たとえば、「おばさん」「おじさん」「りんご」「スリッパ」「わさび」などは、日本語がそのまま台湾語になった言葉です。
また、「おでん」は「オレン」に、「おしぼり」は「オシモリ」に多少発音が変化していますが、やはり、日本語から発生した言葉です。
日本による統治と聞くと、あまり良いイメージは浮かばないかもしれません。
ですが、実際のところ、台湾人は日本人に対して、とても友好的です。
なぜなら、日本は統治時代にインフラを整備し、作物の育ちにくい台湾で農業を推進したからです。
また、最近では、日本のアニメやドラマは台湾の若者たちに大きな影響を与えています。
さらに、日本企業も多く進出しています。
無印良品やしまむらは台湾でも人気がありますし、リラックマやくまもんなどのキャラクターは、子供から大人まで親しまれています。
台湾語を話す人々は、台湾の南部に多く住んでいます。
高雄や台南には、日本統治時代の建物などがたくさん残っています。
古き良き日本、台湾独自の文化、そして中国からの移民たちの運んできた文化の3つの融合した街並みを、歴史に思いをはせながら巡ってみてはいかがでしょうか?