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「地位や名誉よりも…」激務をこなす新人官僚が語ったイマドキ仕事論
1年前、霞ヶ関で官僚としてのキャリアをスタートさせたKさん。
憧れの場所で実際に1年働いた今思うこと、そして将来の働き方について24歳の本音を聞きました。
官僚を目指した理由は、ひと目惚れ
2019年4月、晴れて新人官僚となったKさん。労働環境は過酷なようですが、仕事にもプライベートにも全力を注ぎ、充実した毎日を送っているそうです。
そんなKさんがこの仕事に就いたいきさつとは。
「きっかけは、大学1年生のときに参加した見学ツアーです。その時に、ここで働く人たちを見て『数年後、自分はここにいるだろうな』と、確信したんです。
とても不思議ですが、ここで働いているイメージがパッと浮かびました。『運命の出会い』ですね。
完全に一目惚れでした」
当時、大学では今の仕事に繋がるようなことを学んでいたのでしょうか。
「元々は文学が好きでした。でも高校で経済を勉強した時、世の中の仕組み全てを綺麗に理論で表せることに感動したんです。
今まで自分の意思で動いていると思っていたことも、全て経済学の理論に沿って動いていたところが面白くて。
そこで大学でも経済学を専攻しました。結果的に今の仕事に繋がる部分もありますね」
好きなものだけではなく、経済学にもに挑戦したことで新たな学びが得られ、今につながる大きな糧となったようです。
彼女がこの仕事に出会ったのは偶然にも見えますが、新たなことにも目を向ける姿勢がもたらした結果だったのかもしれません。
激務でも、つらくない?
「現在は省内の窓口のような部屋に所属しています。業務上、省内のたくさんの人と関わるのですが、みなさん新人の私にも本当によくしてくれます。
だから、私もそんな方々に気持ちよく仕事をしてもらいたい、これが一番のモチベーションになっていますね。
私は各所に仕事を回す役目なので疲れた顔はせず、足を引っ張らないように奮闘しています」
しかし、時期によっては家に帰れない日々が続くことも。そんな激務が続いた時、心が折れてしまうことはないのでしょうか?
「最初の見学ツアーで感じた運命は今も変わらないので、良くも悪くもこういうものだと思って日々過ごしています。息をするような感じで毎日仕事していますね(笑)
ただ、最近は課題も感じています。
数時間ごとに情報はアップデートされ、世界がものすごい勢いで動いているのがわかる分、それをキャッチアップできなければ置いていかれてしまう環境なんです。
もともと私は、物事をじっくり考えるタイプでしたが、このスピード感に追いつけるよう、積極的に最新情報を得るよう意識しています」
地位や名誉よりも、大事にしたいものがある
多忙な毎日を送りながらも、週末に時間ができれば弾丸旅行に出かけたり、アクティブな一面も持つKさん。
そんな充実した日々を過ごす彼女に、将来のライフプランを聞きました。
「仕事にやりがいを感じていますし、一緒に働く方々にも恵まれているので今後も頑張りたいと思っています。
ですが、少しずつ働き方は改めたいです(笑)
倒れるほど働いて得られるのが「地位や名誉」なら、理想的な働き方とは言えません。
ワークライフバランスを大事に出来なければ、きっと忙しさで周りの大切な人を大事に出来なくなってしまいます。いつか家庭を持った時にも、きちんとバランスがとれる生活をしたいんです。
だからこそ、周りの人への感謝や配慮を忘れず、後悔のない日々を積み重ねていきたいと考えています」
省庁という過酷な環境でも、明るい笑顔を絶やさないKさん。
仕事に全力を注ぎながら、将来を見据え「バランスを大事にしたい」という強い想いを語ってくれました。
働き方改革が進められている今こそ、彼女のような世代の考え方や力が時代を動かすのかもしれません。