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見て、さわって、飛び込んで!インスタレーションアート展『紙サラダ』の魅力
福岡県田川市の廃校を再生させた施設「いいかねPalette」で、ある個展が開催され話題となっています。
会場である空き教室に敷き詰められているのは、大量のちぎった紙。
訪れた人は年齢も性別も関係なく、思わず笑顔になってしまう不思議な空間でした。そして夜になると、驚きの仕掛けも。この個展に込められた想いとは?
今回は『紙サラダ』を手がけたアーティスト、中村禎仁さんをご紹介します。
コンセプトは、”誰にでもつくれる芸術”
『紙サラダ』と題された個展は、以前にも開催されていたそうですが、今回はどのような意図だったのでしょうか?
「僕は現在、サラダメニューシリーズを制作しています。〇〇サラダといった感じで、段ボールやビニールなど素材は様々です。
そのサラダメニューの中でも『紙サラダ』は、誰にでも造れる、というところが一番重要なポイントになります。この作品は、アーティストでもそうでなくても、紙をちぎってばらまくだけで完成するんです。
つまり、鑑賞者とアーティストの境界線を曖昧にしているので、誰でも作品を作ることが出来るし、芸術として成立させられる、ということを表現しています。」
大人はノスタルジーを、子供たちは日常を感じる「教室」に、千切った紙をしきつめた個展会場では、老若男女問わず笑顔や驚きの表情をみせるところが印象的でした。
「実際に触れることができる参加型にすることで、説明に関わらず作品を体感できます。
『紙サラダ』はどのような人にも平等に受け入れられたら、と思って制作しました。
そうすることで、上下関係をなくし全てを無効化させ、最終的に落ち着く空間を体験できるだろうと思います。」
作品に込められた意図は、素材にも。
全てを無効化させる手段の1つとして、今回の個展に使われている素材も、簡単に手に入るA4のコピー用紙と、蛍光紙が使われているそうです。
紙サラダがみせる、”視点の変化”
日が暮れると、会場はすっかり様変わり。
ブラックライトに照らされ、ふんわりと青く光る海のような空間に、ところどころ蛍光に輝く紙辺がインパクトを強めます。
この劇的な変化に込められたメッセージとは?
「創作活動をする中で『光と闇』をテーマに、日常にある物事や出来事を使って参加型のインスタレーションで表現しています。」
「ひとつの物事や出来事は、同じである。と捉えてしまいがちですが、じつは色々な見方があることを体感できる仕掛けなんです。
今回は、教室に自然光が差し込んだ瞬間の見え方(Day Watch)と、夜にブラックライトを使った瞬間の見え方(Night Watch)で表現しています。」
手がけたのは、あたらしい芸術の道しるべ
大人も子供も、アートに触れる機会が無かった人たちも、心が踊る仕掛けが満載の『紙サラダ』ですが、中村さんの今後の活動は?
「今回の会場は廃校の教室ですが、『紙サラダ』は基本的にどんな場所でも成立します。いいかねPaletteにはまだ使用されていない場所がたくさんあるので、今後は新地開拓もしてみたいですね。」
多くの可能性を秘めた『紙サラダ』。それはアーティストである中村さんが「全てを無効化」させる事で、新たなアートに対する価値観を提示しているのかもしれません。
『紙サラダ』 詳細
期間 |
2月14日(金)- 3月29日(日) |
開館時間 |
DAY WATCH 12:00-18:00 NIGHT WATCH 18:00-20:00 |
料金 |
一般 500円(小学生未満は無料) ハッシュタグ割引 300円 ——— ハッシュタグ割引について: SNS(Fecebook・Twitter・Instagram・TikTok)のどれか 1 つに #紙サラダ #中村禎仁 #いいかねPalette を3つ、ハッシュタグと展示作品写真を載せて投稿すると割引適用 |
住所 |
〒826-0045 福岡県 田川市 猪国2559 いいかねPalette |
ホームページ |
<Profile>
中村禎仁/アーティスト
Sadahito Nakamura
1982年生まれ(福岡県出身)
光と闇をテーマに、日常にある物事、出来事などを使い参加型のインスタレーションで表現する。
Instagram @sadahitonakamura
Twitter @saradatowatashi
Facebook Sadahito Nakamura